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その本を読み始めるまでに 半年かかってしまった。
私のオオカミ好きを知ってか、「読みますか?」と 患者さんが貸してくれたのに 私はすぐに読む勇気がなかった。 結末は 予想がつく・・・心がつぶされるだろう。 加えて パラパラと見たそのオオカミの姿は 子供のころ 近所のおばあさんに連れられて遊びに来る 真っ黒くて大きな「クマ」という犬に生き写しだ。 大人でも恐がるそのクマが 私は大好きで大好きで仕方なかった。 読めない・・・でもいつまでも置いとくわけにはいかない ついに、大げさでなく心を奮い立たせて やっと 私は読み始めた。 アラスカの町に表れた真黒なオオカミ 犬たちを大好きで 一緒に遊びたがり、人にも危害を加えない。 餌はもらわず保護されもせず、自立した野生の雄オオカミは いつしか ロミオと呼ばれるようになった。 そうして人間社会のすぐ傍で 6年間を生きたのである。 私は この本を書いたニック・ジャンズの冷静な対応に敬意を感じる。 友好的なオオカミのそばに 誰もが近寄りたがった。 彼も同じであったろうが、その誘惑に負けず ロミオが自分と犬たちに近寄りすぎると 棒を振り回して追い払うのだ。 この思いが果たしてロミオに通じるだろうか? そう心で思いながら。 人間に近づきすぎるのは このロミオの命を縮める危険を招くのだ。 オオカミが危険なのではない、人間が怖いのだ 私なら、負ける 彼の妻もつぶやいたように、 彼らが家に入った後 庭の雪の中で ポツンとたたずむ黒オオカミの寂しげな姿を見たなら 家に入れて、暖かい風呂に入れて 美味しいものをたらふく食べさせてあげたいと思う。 そうして 人と生きてきたのが犬たちだ。 イヌとオオカミのDNAを調べると 99.98%同じらしい。 0,02%の違いは、 オオカミが人間を ボスやパートナーとせず、 自立して厳しい自然の中で生きてきたことだけだ。 しかし その差は大きい。 人間と彼らの社会はしっかりと分けることが生き抜く術なのだ。 そのことを ハンターでもあった著者は身に染みて分かっていたのだろう。 ロミオの死後 深夜 眠る妻や犬を起こさないよう 彼は静かに涙を流す。 「自分のために泣くのでも、オオカミのために泣くのでもない 僕たちすべてのために、 ますます空虚になる世界に 漂流する僕たちすべてのために泣くのだ。 これほどの悲しみから、どうやって希望を見出せばいいのだろう?」 私は いつからオオカミを好きになったのか覚えていない けれど オオカミを知ろうとすればするほど オオカミたちが不当に受けてきた虐殺の歴史を知ることになった。 オオカミは人を襲わない。 人を襲った例は、クマや野犬や他の動物たちに比べ驚くほど少ない。 もちろん 群れや家族を守るための抵抗や、 イヌから移された狂犬病のために 被害はでたがその数は少ない。 にもかかわらず その美しい毛皮のために オオカミは残忍な悪魔の使いのように吹聴され 見れば 殺して当然の獣と見なされた。 毛皮や角や皮のために殺戮されてきた動物は他にも多い。 けれど これほどの憎しみを持って 拷問のように惨殺され続けてきたものはない。 今でもオオカミと聞くと 無条件で嫌悪感を感じる人がいるだろう 日本でもオオカミを意図的に絶滅させた。 そして今、あちこちの山や島が 天敵のいなくなった鹿などにより 草も生えない枯れ山になってしまった。 アメリカ・イエローストーン自然公園では オオカミを放ったおかげで 川やそこに生息するビーバーや植物が再生したそうだ。 自然は私たちの浅知恵や利害だけでは保ちえない均衡を創り出す。 その頂点に位置するのがオオカミで、 それを目先の利害で取り除いた結果は 私たちがこれから受け取らなくてはならないものだ。 この本をなかなか読み始められなかったのも またしても人間の妄想と欲のために犠牲になったオオカミを また1頭 知ることになるのだと思ったからだ。 しかし本を読み終え 救いだったのは、 ロミオの最後が 長い拷問でなかったこと そして彼の6年間が 多くの人と犬たちとの「愛」と呼べる交流でうめられていたことだ。 この地球は 人が多くの生き物たちと共存しては 生きてはいけないほど 狭いのか?! 人が 少しだけ貪欲さを捨て、 同じ星に生きるものに 少しだけ敬意を持てば 十分に足りているのではないだろうか? すべての命は 生きるだけの意味と 尊厳を持っている。 違うだろうか? ![]()
by kami-therapy
| 2016-06-15 19:25
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